歯周病について
歯周病の基礎知識
歯周病は歯を失う原因のナンバーワンです!

歯の表面には粘り気のある薄い膜が毎日作られていて、歯と歯肉の境目に溜まっていきます。
これが歯垢で、歯垢が石灰化した歯垢と共に歯周病の原因といわれています。歯垢1mgには1億もの細菌が含まれ、歯肉に炎症をもたらします。
さらに炎症が進むと歯を支えている歯槽骨も溶かし、歯がグラグラしてきます。
放置すると歯が抜け落ちてしまいます。
歯を失う原因はむし歯より多いといわれています。
歯周病の進行

①初期
歯の根元に少し歯垢や歯石がついている。あまり自覚症状はない。

②歯肉炎
歯と歯の間の歯肉が赤く腫れる。歯ブラシで出血する。歯の動揺はない。

③歯周病中等度
歯周辺の歯肉も赤く腫れる。出血・口臭・起床時の不快感がある。
歯の動揺もある。

④歯周病重度
歯ぐきが化膿する。腫れることもある。歯の動揺・不快感が著しくなる。
歯周病Q&A
Q.歯周病とはどんな病気ですか?
歯を支える歯ぐきなど歯の周囲に起こる病気です。歯の土台の病気ですから、進行すると歯がぐらつき、ついには抜けてしまいます。 歯を支える歯ぐきが炎症を起こし、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)が深くなるとアゴの骨の一部である歯槽骨が徐々に破壊されます。厚生省(現・厚生労働省)の調査によりますと、歯周病の予備軍にあたる人は10人に7人いることがわかりました。
歯周病の原因
歯周病の主な原因は、“細菌”です。
日々のブラッシング(セルフケア)や定期的なメインテナンス(プロケア)を怠ったり、また糖分を過剰に摂取したりすると、歯の表面に“プラーク”と呼ばれる黄白色の「ヌメリ」のようなものが付着してきます。
プラークは非常に多数の細菌とその産生物から構成され、歯肉や歯槽骨に有害な毒素を出すため、結果として歯肉に炎症が起こり、さらに歯槽骨が破壊されます。
また、長期間プラークを除去しないと、いずれ固くなり“歯石”となります。
歯石の表面は粗造のためプラークも非常に付着しやすく、歯周病の進行をさらに助長します。
このように、歯肉に炎症が起き、歯槽骨が破壊される歯周病の原因は細菌によるものであることがわかっています。
細菌が直接的な原因である一方で、歯周病のリスク因子もいくつか存在します。
歯周組織再生療法
現在日本で頻用される厚生労働省の認可を受けた歯周組織再生材料または歯周組織再生医薬品としては、エムドゲインとリグロスがあります。
エムドゲインとは

エムドゲインとは幼若豚の歯胚から抽出精製した歯周組織再生材料です。
歯の発生期に重要な役割を果たすタンパクのひとつに、エナメルマトリクスタンパク質があります。
このエナメルマトリックスタンパク質に着目してスウェーデンのビオラ社が開発した製品がエムドゲインです。
世界44カ国以上で使用され、1998年登場以来20年以上使われてきた実績のある材料です。
適応症
歯周ポケットの深さが6mm以上、幅2mm以上の垂直性骨欠損(根分岐部を除く)
エムドゲインの優位点
20年以上使われてきた実績があり、しっかりした効果があると実証されています。
エムドゲインのデメリット
保険適応外の歯周組織再生材料のため、エムドゲインを使用する場合は自費治療となります。
リグロスとは

リグロスとは、FGF-2(塩基性線維芽細胞増殖因子)という増殖因子を主成分とした、世界初の歯周組織再生医薬品です。
成長因子の作用によって細胞の増殖が促進され、歯周組織の再生が起こります。
大阪大学の村上伸也教授が25年の研究をへて開発した歯周組織再生医薬品です。
適応症
歯周ポケットの深さが4mm以上ある垂直性骨欠損がある症例に適応されます。
術後に歯肉弁の陥凹を生じると予想される骨欠損部位に対しては使用できません。
リグロスの優位点
保険適応の歯周組織再生医薬品であり、保険治療の範囲内で使用することが可能です。
リグロスのデメリット
実際に人間に使用した場合の臨床データがエムドゲインと比べるとまだ少ない。
(*リグロスの主成分であるFGF-2は皮膚科領域では以前から臨床応用されており、副作用という点では問題ないと言われています)
- 再生治療は無くなった骨を再生はさせるが、「歯周病そのもの」を治す治療ではない。
(歯周病そのものを治す治療⇒歯周基本治療) - 再生治療は歯周基本治療が終了してからおこなうことが鉄則。
- 適応症がある(可能なタイプが限定される、魔法の薬ではない)。
- 再生した骨も再び無くなる可能性(歯周病の再発)があるので油断しない。
- すぐに骨はできない(半年以上は待つ)。
- 再生する骨の量は50~60%(治療法と状況で異なる)が目安。